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感想文:『鯉とガスパチョ』ヒカシュー

2015/07/04 『鯉とガスパチョ』ヒカシュー(MAKIGAMI RECORDS 2009.10.20)

2008年 4月発売のアルバム『生きること』に続く 2009年10月発売の 3曲入り CD(シングルCDってことになるのか)で、現在2015年で 10年を迎えている現メンバーでアヴァンギャルド色の強い『転々』、3曲入り『入念』とリリースし、ついで 2008年『生きること』でひとつの区切りとした感があるヒカシューの新たな展開を感じさせるものなのだが、いささかとりとめのないというか、つかみどころのない感じのある 3曲である。ただ、やはり音はすごくいい。

タイトル曲「鯉とガスパッチョ」、聴いているうちに思いついたのは、これは歌謡曲や洋楽でもあったが、いわゆる夏物(特に夏向けに作られた曲)だなということ。そして夏というとヒカシューには、それこそ『夏』というタイトルのアルバムさえあるのだ。セカンド・アルバムである『夏』が 1980年、それから 30年経とうという夏の光景を描いた曲で、夏物らしい間奏のギターも情熱的な音だ。夏に続いては秋の日の」と始まる「珍無類」で「でも いい人はぐらかさないで」というような、分ったような分らないような歌詞は繰り返し聴くとクセになる。ところで歌詞ブックレットを見て見ると、現メンバーの他に、以前の故・野本和浩、トルステン・ラッシュ、新井田耕造、吉森信といった名前が載っているので、その頃の録音も使われているようなのだが、この曲だろうか?と思っている。つかみどころのないような歌詞に対し、音はふと気づくと思いの他ハードだ。3曲目「グローバルシティの憂鬱」、前の 3曲入り CD、そして『生きること』には「デジタルなフランケン」という印象的な曲があったが、やはり ITでネットワークされた現代、という観点での曲、ノリの良さ、曲のキャッチーさでは 3曲中一番の曲だ。もともとテクノポップというジャンルに分類される位置づけで登場し、演奏録音機材がアナログからデジタルへ移り行く前夜であった当初からテクノロジーとの対峙を感じさせるグループだったヒカシューが、やはりそれから30年経とうという現在の変わらぬポジションを確認させるようなナンバーである。

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