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感想文:『ポール・モーリア ベスト20』

2015/06/25 『ポール・モーリア ベスト20』(Universal Music LLC 配信開始日 2015.6.13 Moraでダウンロード購入)

ベスト盤で、曲目だけ見ると満足の行くものなので、ためらわずに購入したのだが(現在Moraでポール・モーリアの作品を探すとアルバムが何枚か出てくるが、曲名が日本語表記されているのは、これだけ)、1曲目の「恋はみずいろ」冒頭を聞くと、私がなじんだものとアレンジが微妙に違うのが分った。ほんのちょっとした違いで、繰り返し聞いているとかえって気にならなくなるほどだが、各々の楽器のフレーズ、混ざり具合が少し違う。特に分りやすいのはイントロからメロディに入って 4小節目がすんだ区切りでドラムが入るところでオリジナルのものは「ドッドッ」と二拍なのだが、これはもっと細かく打っている。他の曲はアレンジ違いかどうか判断できないが、全体に音がとてもいいので、「恋はみずいろ」以外も古い時代のものは録音し直したものではないかと私は思うのだが……。理由は後述。

ポール・モーリアは 1970年代初頭、私がラジオで洋楽を聞き始めた頃に「恋はみずいろ」「黒ワシ」(1971年初夏の時点での新譜だったと思う)と聴いて、たいそう好きになり、それ以来好意を持っているイージー・リスニングの音楽家である。といっても、ロックとかいろいろ聴いてるあいまに聴くという形なので、アルバムは 1978年の春に買ったベスト盤『ベスト・アプローズ ポール・モーリア』の中から気に入った曲をカセットテープに録音したものをずっと聞いていて、アルバムはすぐに売ってしまっていた。そのアルバム、1枚物だったか 2枚組だったか思い出せないが、テープに入れている曲目は

A.
恋はみずいろ L'AMOUR EST BLUE (アンドレ・ポップ)
黒いワシ L'AIGLE NOIR "De die a Laurence" (バルバラ)
蒼いノクターン NOCTURNE (ポール・モーリア)
エーゲ海の真珠 PENELOPE (ジョルジュ・ブラッサンス)
恋のアランフェス ARANJUEZ d'apies l'adagio (ホアキン・ドロリーゴ、ギイ・ボンタンペリ)

B.
愛の願い LOVE ME, PLEASE LOVE ME (ミッシェル・ポルナレフ)
シバの女王 LA REINE DE SABA (ミッシェル・ローラン)
愛のおそれ J'AI PEUR (エンリコ・マシアス)
サウンド・オブ・サイレンス (ポール・サイモン)
シェルブールの雨傘 GENERIQUE DU film "LES PARPLUES DE CHERBOURG" (ミッシェル・ルブラン)
夜のメロディー LA NUIT (サルヴァトーレ・アダモ)
輝く星座 AQUARIUS (マクダー・モット)

 ……である。「涙のトッカータ」「オリーブの首飾り」といった代表曲がテープに入ってないのは、気に入ってないからではなく、レコードに入ってなかったからで、つまりそれだけ早い時代のベスト盤だったのだ。

CD時代に入ってから、CDのベスト盤を探したのだが(まだ 1980年代の話)、いくつか出てるベスト盤で、1枚でこれ、というのがなく、気に入った曲をすべて押さえようとしたら何枚組かのものになる、それで気軽に手出し出来ずにいた。今世紀に入る頃にベストと題されているものを 1枚買ったが、これは原題が “Best Of Paul Mauriat French Pops”、つまりポール・モーリアのベストはなく、フレンチ・ポップスのベスト盤ということなので、ポール・モーリアの曲として知られているものは「恋はみずいろ」、「黒いワシ」が入っているだけ、それでもこの二曲が気軽に聴けるならと思って買った。このたび「エーゲ海の真珠」が聴きたくなって(テープおよびそれを PCに取り込んだものはあったのだが)、このベスト盤をダウンロード購入したところ、「恋はみずいろ」のアレンジ違いに気づいたのだ。

そこで現在入手できるベスト盤CDを探して Amazonのレヴューを見てみた。その結果、大丈夫そう(「恋はみずいろ」が確実にオリジナル・ヴァージョンである)と思われるのは『ポール・モーリア全集 オリーヴの首飾り Original recording remastered』という 2008年のものがそれらしく思えた。最近では 2014年の『プレミアム・ツイン・ベスト ポール・モーリア 恋はみずいろ』というのがあったが、詳細は分らない。さらに調べると、ちょうどポール・モーリア生誕90周年記念のベスト盤が発売されたというニュースを見つけた。

「ポール・モーリア生誕90周年を記念したベスト盤が発売、日本初収録曲も」(RBBTODAY 2015年6月19日(金) 10時00分)
http://www.rbbtoday.com/article/2015/06/19/132432.html

その発売元を見てみた。株式会社燈音舎という聞いたことのない会社で、新聞によく通販のみの販売で CDのセットの広告が出てるが、ああいうものを売っている会社かなと思った。そのサイトは「音楽のある風景」というのだが、さらにサイトを見ると、どうやら BSで同タイトルの番組をやってて、そこで通販をやってるらしいのだ。ユニバーサルミュージックの通販部門を請け負っている形になっているらしい。ふだんそういう通販の類は利用しないのだが、その「ポール・モーリア生誕90周年を記念したベスト盤」の内容が、出来る限り良い状態のオリジナル・ヴァージョンを選んでリマスターしたとある。その宣伝文によると、完璧主義者のポール・モーリアは古い作品の CD化を許可せず、新たに録音したものが流通していたというのだ。なるほど、それでこの「恋はみずいろ」のアレンジ違いの件が分った(と思うのだが、確かなことは分らない)。ちなみに私の持っているフレンチ・ポップスのベストの CDの「恋はみずいろ」は私が良く聞いたオリジナルと思われるアレンジのものだった。5枚組というセットに収録される曲目には申し分なく、この機会にこれさえ持っていればいいと思われる内容の、そのセットを買うことに決めた。私がこの電子データをダウンロード購入したのが 6月19日で、その 5枚組セットのリリースは 18日だったという。

そういうわけで、ポール・モーリアのベスト盤の感想は 5枚組 “Paul Mauriat Best 100” に続く。

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