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かねがね疑問、古典名画と古典文学の著作権

まず前置きとして、著作権関連の事柄について、私がどの程度の認識があるのかというと、まず『そこが「知的所有権」違反です 知的商売にかかわっている人へ』「知的所有権」研究弁護士グループ/著、中経出版 1988年1月刊行 という本は、買って一通り、ちゃんと読んだ。1990年頃。その後、ニフティに加入、パソコン通信を始めると、いろんなフォーラムのお知らせドキュメントに、著作権についての簡単な説明、ルールとマナーが記されていることがあり、それらも目を通した。

著作権について入門的なことが知りたい人には「社団法人 著作権情報センター」に解説のページがある。

さて、私がかねがね疑問に思っているのは、(当然、すでに著作権により公開を独占する権利の切れている)古典の名画と古典文学をネットに掲載する場合の著作権及び隣接した権利の扱いについてである。一枚一枚の絵、作品については、とっくに著作権が切れている場合だ。上記、著作権情報センターの「著作権Q&Aインデックス」はじめての著作権講座」「名画の複製写真も写真の著作物として保護されますか?」や「社団法人日本写真家協会WEB SITE」「写真家のための著作権 Q&A」「名画や書を複写したものの著作権は、彫刻は?」の内容が該当する場合である。そして、画集の形にしたものには、その絵の配列などの編集や(当然ながら)新たな解説文についての著作権は生ずる。問題は、名画というものは、そこらへんにあるものではなく、日本中、世界中の美術館とかにあるものである。いくら著作権が切れてたって、そういうところまで、個人がちょっと行って、撮影して使うってわけにはいかない。たとえ行ったって、所有者から、やたらストロボたかれて撮影されたら絵が傷むとか、その他いろいろな理由で、みだりに撮影が許可されてないかも知れない。そういうものを、わざわざ出かけていって、許可を得て、プロの技術でもって撮影して画集を作った。当然コストがかかってる。それを、1枚1枚の絵は著作権がないからといって、自由に複写して使っていいのだろうか。そこがよく分からない。もっとネット上の考え方を検索してみる。

テオポリス——ギリシア神話データベース&西洋絵画紹介」というページの「西洋絵画の著作権について」、特にポイントは「(3)画集や絵葉書などの出版物から絵画の画像をスキャンし、無断でサイトに掲載することは出版者の著作権を侵害する行為ではないか?」のくだりである。「しかし編集著作権は個々の素材そのものについては影響しませんから、画集の中から気に入った絵画を数枚個別にスキャンしてサイトに掲載するというのは問題ありません。」「いかにその出版物に「無断複製・転載を禁ず」などと書いてあっても大丈夫ということになります。」さらに、このサイトの案内所で紹介されている「アート at ドリアン 西洋絵画史」の「画像の使用方法(著作権に関して)」を見る。「著作権が無くなった絵画に関してだけは、たとえ、出版元といえど、なんの権利も発生しないのです。」どちらも著作権情報センターへ電話で問い合わせをされた解答を踏まえて書かれている。

これによると、画集のうちの何枚かの絵をスキャンして、webに掲載しても大丈夫らしいということになる。しかし上記「テオポリス」さんの文章中「(しかし、あまりの無力ぶりに業を煮やした出版者側が文献複写に関する自分たちの確固とした権利を著作権法に追加してもらうべく奮闘中のようです。もしかしたらそのうち法改正があるかもしれません)。」今のところ、この点で裁判とかになった例はないのだろう。裁判で判例が出来れば、このあたり、もっと明確になるのだろう。私の希望としては……いっそ、公的な機関が古典絵画のデータベースを作って、インターネットで公開、自由に使用出来るようにしてくれれば一番いいのに……ごく部分的には今でもあるのかも知れないが。

印象派の水辺
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似たような疑問が古典文学にもある。著作権による制限はとっくに失われている。しかし、こちらも、日本の古典の場合、元の本は、なんとか文庫とかなんとか資料なんとかという、特別な場所に大事にしまわれている、筆で書き写した、私なんかには、たとえ見せられても何が書いてあるのか分からないような文章で書かれた書物を、を学者の先生が考訂して、活字化、一般読者の目には、岩波書店の古典全集やら文庫やら新潮日本古典集成やら角川文庫やら、まあそういう、地元の本屋でも買えるようなものにして出版している。これらは考訂された部分や、場合によっては編集された部分については著作権があるのではないか。この点に関しての疑問は、こちら「やた管ブログ」という、どうやら国語の先生をしているらしい方のブログの「古典文学の著作権(その1)」「古典文学の著作権(その2)」で、私の漠然と抱いたような疑問点を、きちんと整理されて記述し、見解を述べられている。コメント欄も含め、非常に参考になる。

「古典テキストでは原作者の著作権は問題にならないが、校訂者の権利が関係することがある。また、専門家からみれば、校訂本文の選択によって電子テキストの価値は全く違ってくるだろう。」こちらは、私がインターネットに接続し始めて間もない頃に、リンクは自由であるべきだという主張を読んで、大いに納得した後藤斉という大学の先生の「インターネット言語学情報 第11回 — 古典テキスト」中の文章である。

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